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パリで修行した『おかしやうっちー』さんが「僕はパティシエではないかも」と言うのはなぜ?お菓子を超えた食の本質について語ってもらった

水月

こんにちは。

アートが好きで、ENERGEIAで「おむすびアート」の部長をしています、水月むつみです。

今回の記事ではエネルゲってる人をご紹介しますが、取材先として真っ先に思い浮かんだのが「おかしやうっちー」というお菓子屋さんでした。

お店の名前おかしやうっちー
住所渋谷区千駄ヶ谷3-27-9-1F
営業時間平日11:30~14:00 土日祝日12:30~15:00
電話番号03-6721-0277
Instagramhttps://www.instagram.com/okashiya_ucchi/
公式ホームページhttps://www.okashiya-ucchi.com/

うっちーさんのお菓子はアートと言ってもいいのではないかなと思うくらい、シンプルさを極めて行き着いたような独創性のあるお菓子です。

例えば、「水ちょこ」という名前のチョコは、なんと原材料が水とカカオのみ!ですが、とてもすっきりとした美味しさがあります。そんな驚きのお菓子を出す、知る人ぞ知る名店という感じのお店を一人でされています。

https://www.instagram.com/p/CPj7ve2sQms より引用

私が初めてうかがった時にはふらっと一人で行ってみたのですが、その時の衝撃は今でも忘れることができません。一口食べて「え?何?」と、今まで経験したことがない味で言葉が出てきませんでした(笑)

それからちょくちょくうかがうようになり、うっちーさんのお菓子づくりに対する想いや姿勢などを少しずつ知るようになりました。

うっちーさんは「この仕事は天職だと思っている」と言っていますが、本当にお菓子作りが好きで没頭してきたからこそ、こんな独創的なお菓子が作れるんだなあと思います。

ENERGEIAしているうっちーさんのお菓子作りについてもっと詳しく聞けたら、「没頭」することの本質や意味を多くの人にお届けできるかなということで、深堀りして聞いてまいりました。

うっちーさんのお菓子作りへの想いフランス修行の話食に関して伝えたいこと、未来の展望、うっちーさんのルーツに関して聞いてきましたので、ぜひお読みくださいね。

もくじ

1.「おかしやうっちー」さんがお菓子作りで大切にしていること

「おかしやうっちー」さんの店舗に実際にうかがいまして、お店の椅子に並んでお聞きすることになったのですが、まずはじめに、

・うっちーさんがお菓子作りで大切にしていることや信念
・どういうお菓子を目指して作っているのか

ということについてお聞きすることができました。

1−1 お菓子を通して、素材の美味しさを知ってほしい

水月

おかしやうっちーさんのお菓子が私は好きなので、いろいろお聞きできたらいいなと思ってまして。

うっちーさんのこだわり、お菓子に対する想いがあれば聞きたいなと思うんですけど

内山

私は食べるのがそもそも好きなんで、食べ歩きをしたり、自分で作って食べたた時に、面白い発見があったり、今までにない驚きがあったりするんですね。

お菓子を通して、素材の美味しさを知る機会、知る場所を作りたいと思って、共感して欲しいという意味もあって、少し変わったお店なんですけど、自分のやりたいことをやっています。

水月

いろんなものを食べる中で、自分が今まで食べたことがないようなもの、お客さんがびっくりするようなものを作りたいというのが基本的にあって?

内山

そうですね。他でやってることをやりたい気持ちは全くないので。自分が作るお菓子を通して、体が喜んで、かつ美味しい、楽しいという経験とか、いろんな要素を楽しんでもらえたら一番いいなというのがすごくあります。

普通のお菓子は嗜好品で、食べて美味しい満足感はあるんですけど、結局それだけだと、他でやってる人と全く同じことになってしまうので。

そういうものは他の人に任せて自分は自分にしかできないスタイルで。商売を考えているというより、自分がやりたいことをただやってるだけですね。

水月

自分の方針みたいなものが。

内山

そうですね。自分も楽しく作って、楽しみながら美味しいものを探してという感じです。

水月

本当にオリジナルっていう感じがしますもんね。

内山

そうですね。私はひねくれてるので、人と同じようなことをしたくないとか、真似してると思われたくないというのもありますね。

料理でもお菓子でも他の分野でもそうだと思うんですけど、誰かがやってることを真似してアレンジして出すのが大体じゃないですか。

オリジナルで作り上げる人もいますけど、それは一番大変で、でもそこにやりがいがあって。自分もまだまだ未熟者だと思ってるので、スキルをあげられたらいいなと。

1−2 重いのに軽い!?「体が喜ぶ」お菓子とは

水月

体が喜ぶというのは、どういう風な感じとかあります?

内山

お腹を満たすだけなら、コンビニとかファーストフードとか、いろいろあると思います。

洋菓子は濃厚で濃いコーヒーと濃い紅茶と合わせて食べる文化なんですけど、ただ食べると重く感じて、お腹の中に満たされた感じにはなるんですけど、疲れちゃうものが多いんですよ。

体が余分なものだと思って、美味しかったけどしばらくいいかなと思ったりするんですよ。

体は正直なので、食べてて「もうちょっと食べたいな」とか、またすぐ食べたいなと思えるものを求めていると思うので。なるべくそういう感じになるようにしてます。

余分なものをそぎ落として、シンプルに軽くしようと思えば簡単なんですけど、軽いものは味がぼやけて何食べたかわからないものになってしまことが多いんです。

何を食べさせたいのかを明確にして、ちゃんと濃く感じながら、後味は軽いというのを目指してます。

水月

それはすごく分かる気がします。

内山

普通は重いものと軽いものは共存しないと思うんですけど、濃いのに軽いということを意識して作っていく。

水月

この前食べたナッツのものは、ナッツなんて油じゃないですか。でも全然すーっと入ってきちゃうから、ああいうのもすごいなーと思って。

内山

素材も大事だと思ってるので、鮮度がすごく重要で。フルーツだとしたら、取ってすぐ食べた時と、取って1週間後に食べた時とでは絶対に味も違うじゃないですか。

その辺を理解して使っていかないと素材が本来持っているポテンシャルも分かりにくくなってしまうので。

なるべく素材が持ってるポテンシャルが高いうちにお菓子に仕上げて食べてもらって、その本質的な味を知ってもらえればと思ってます。

大きいお店だとそういうことができなくなっちゃうのですが、小さいお店だと細かい管理もできるので、このぐらいの規模のスペースでやっています。

水月

それは最初からそういう信念があったんですか?

内山

そうですね。美味しいものを食べるのが好きなので、そういうことを自分の中で理解していて「できる」と思ったのがありますね。

値段が高いものがいいかというとそうでもなくて、高いものでも取れたらすぐに食べるのと、時間が経って食べるのでは良さがなくなってしまう。

デパートに売ってるフルーツも、値段が高くて見た目が良ければ時間が経っても売れるというのが前提なので、高いのにあんまり良くないものが多いです。

そういうことを作る側や売る側が理解して、お客様にも伝えながら、食を好きになってもらって、楽しんでもらえたらと思っています。

水月

お菓子屋さんを超えて、食を伝えたいみたいなのがあるんですか?

内山

そうですね。かっこよく言うとそうですけど、純粋に自分が美味しいと思ったものとか、食べた時に驚いたものに一緒に共感してもらいたいというのがありますね。

水月

自分の中で、それがもう最大限、発揮されたみたいなお菓子の具体例はありますか?

内山

全般そうですね。全部一応、出して恥ずかしいものは作ってないので。プリンでも卵の素材の味わいを最大限楽しめるように火入れや配合もこだわっているので。

チョコでも水とチョコで作ってみるとか、クッキーでも配合が一緒でも素材が違ったら違う味わいが楽しめるようにしています。

その中で全部共通するのは、深い味わいや香りはあるんですけど、後味はなるべく軽やかにして食べ飽きない、するする体が求めて食べられるようにしていることですかね。

水月

クッキーも小麦粉の種類がいろいろで、しかも珍しい種類の米粉のとかがあってビックリしました。最初食べた時は。

内山

普段みなさんが食べれないような、触れられないようなものをなるべく選んでいます。

2、フランスでの経験が日本でのお菓子づくりに活かされている

以前、うっちーさんからフランスに修行に行った時のエピソードを聞いたことがありまして、ビックリした話があったので、もっと詳しく聞いてみたいなと、フランスに行って学んだことや視点の変化についてお伺いしてみました。

2−1 学び、働き、現地でやれることはやり尽くしたフランスでの修行

水月

ちょっとフランスのことを聞いても大丈夫ですか?聞きたくて。行ったきっかけはあるんですか?

内山

私は最初に学生の頃に1回フランスに行ってるんですけど、専門学校を出て、半年学校で半年研修で現場に行ってたんです

その時には学校経由で行ってるので、お客様扱いみたいな感じでやらせてもらって。「あー、よくできたね」みたいなのがすごく多かったんです。

逆に悔しくて、自分がちゃんと仕事をできるようになってから、もう一度フランスに行きたいと

それで27の時ですかね。もう1回フランスに行って、その時は仕事を覚えに行くというよりは、向こうの文化とか、食を最大限楽しんでこようと思って。

向こうでしかできないことは、やっぱり向こうで生活をちゃんとして、向こうの文化に触れてっていうことで

例えば、お昼でもフランスの人たちがピクニックで昼間からお酒飲んでたりって、日本でまずないじゃないですか。そういうものとかエンターテイメントとか食もそうですし。

あと、フランスで就職活動がしたくて、自分で履歴書を作って、仕事を決めないで、履歴書を出して回って仕事を決めました

普通に仕事ができるようになっていったと思ってはいたんで、給料交渉もできるようにして行って、結局、だいぶもらえることになりました。

水月

ふふ、それを聞いたときはびっくりして。給料交渉を自分でできるようにフランス語をやっていったっていうのを聞いて

内山

馬鹿にされたくないとか、自分でちゃんとできることはしようと思って。それで行きたいレストラン、行きたい国、見たいもの、買いたいものはもう全部やりつくそうと思って、全てお金を使い切って。

ビザもくれると言われたんですけど、1年間でやり尽くして帰ろうと決めてたんで、ビザはもうもらわないですよって帰って来たんですけど。

帰ってきたら、その時お金ゼロ円だったんで、友達の家に転がり込んで、建築現場で働いたり。コンサートスタッフやったりとか。

水月

あはは。フランスの文化とかエンタメで、すごく学びになったことはありますか?

内山

やっぱり発想の違い。日本人って結構カタい文化で、向こうは自由な考え方なので

それが完全にいいとは思わないですけど、絶対に日本にいたら経験できないのはいっぱいありますよね。

例えば、仕事をするのに、まず労働局行って紙をもらわないといけない。紙をもらうのに、並んで出して、1週間以内に送ってくれるって言っても、1週間以上、絶対来なかったり。

私が現実に経験したわけではないけど、並んでたら、受付の人一人しかいなくて、お昼ご飯食べ行くからって言って、2時間ぐらい戻ってこなかったりとか。まあそれは悪い例ですけどね。

水月

ありますよね、そういうの

内山

そういう意味ではやっぱり、すごく自由

水月

自由ですよね

内山

スーパー行っても、まだ買い物してないものを開けて食べ始めたりとか

水月

ははは。そういうのいっぱいありますよね。

内山

本当いろんな面白い経験があったんで。ただ、私は日本のほうが住みやすいかなという。

水月

一人で暮らしてたんですか?

内山

そうです。一人でマンション借りて。

2−2 日本でお菓子をやるために和菓子をちゃんと勉強する

水月

日本と海外の食文化の違いでびっくりしたことはありますか?

内山

私が行った時はもう日本の食材を好む傾向にあったので、そういうものを取り入れたりしてて。

それはそれでいいとは思うんですけど、日本で和菓子を食べるのと、海外で和菓子を食べるのだと、絶対に美味しさは違うと思うんです。

洋菓子も一緒で、向こうで洋菓子を食べるのと、こっちで洋菓子を食べるのと、美味しさはやっぱり違うと思うんですよ。

水月

同じものでもってことですか?

内山

同じ物でも。同じものはやっぱりできないじゃないですか。材料の関係とか、気候もそうですし、習慣とかもあるので。

例えばフランスに行って、お茶と和菓子を食べて落ち着くかというと、やっぱりちょっと嚙み合わないじゃないですか。その空間を作ったとしても。

日本でも一緒で、フランスの感じで洋菓子だったり、カフェだったりをイメージして作っても、やっぱり同じような感じの雰囲気に100%ならない。

向こうにしかできないものがあるので、そういうのをうまくやってるところは、やっぱりすごいなとは思いますね。

水月

それがオリジナルみたいなものに繋がるってことですよね?

内山

そうですね。日本でお菓子をやる上で、和菓子をちゃんと勉強しないといけないなというのはすごく感じて。食べるものではないんですけど、やっぱり日本の習慣の良さというか。

例えば、和菓子でも和食でも家で食べる料理でも、濃いものってないじゃないですか。

日本人はやっぱり最終的には後味が綺麗なものとか、素材感とか、そういうものを好む傾向にあると思うので。それが文化だと思うんですよね。

洋菓子なんですけど、なるべく後味は和をイメージしてます。だから、食べてて飽きなかったり、重く感じなかったりとか

水月

フランスに行って日本を振り返って見るようになった感じ

内山

そうですね。あとは和菓子屋さんで働いてたのもすごく大きいですね。

そこの旦那さんの考え方だったり、昔からの日本の文化、伝統。和菓子も、何のために和菓子があるのかとか、そういうものも含めて。

和菓子はお茶を引き立たせるためにあるんです。受け売りですけど。

日本は、男性の後ろに一歩引いて女性が付いていくのが、昔からあるんですけど、和菓子も一緒で、お茶のために和菓子があるんで主張しすぎちゃ駄目なんです。

甘さもちょうどよく作っちゃうと、お茶の良さが引き立たないので、少し甘さも強かったり。和菓子を食べた後にお茶を飲んだ時に、お茶がより美味しいと思えるようなものを作るのが和菓子

水月

お茶がむしろ主役?

内山

そうです

水月

えー、そうなんだ。いや、多分みんな逆に思ってますよね。あはは。お菓子ですよね、普通メインは。

内山

そうそう。私も最初そういうイメージだったんですけど、やっぱり話を聞いた時に、昔の時代の背景もたぶんあると思うので。

水月

そうなんだ。面白い。なるほど。だからもう、あらゆる食を学んでいらっしゃるっていう感じですよね。

内山

そんなに全般じゃないですけど

3、「僕はパティシエではないかもしれない」とはどういうことなのか?

水月

食べ歩きも好きというのを聞いて、食べ歩いて、これはすごく学びになった、とかあります?

内山

ほんとそれこそ、木坂さんに。

木坂さんが私が作ったお菓子を好んでくれるのも、たぶん同じ味覚、感覚を持ってるからだと思うので、木坂さんが美味しいと思ったものは食べてみようと思って。

美味しいところを聞いて行った時に、本当にすごくピタッとハマるものもあって。

最近教えてもらって一番感動したのは和食のお店で。味が濃いのに後味が無なのがあって。それってもうなんか理解できないじゃないですか。

一体どうやったらできるんだろうっていう。そういう領域までやってる方がいるので、自分もまだまだだなと思いながら。

水月

あー、なるほど。そういう共通してる部分があるってことですよね?

要するに、食べて美味しくて、ちゃんと濃い味があるんだけど、後味はすっきりしてるというところが。

内山

言い方は失礼なんですけど、普通の洋菓子が美味しいとか好きと思う人にはちょっと感じ取れない、そういう味わいではあると思うんです。

重きをどこに置いてるかですよね。濃厚で美味しく、一個で満足感を求めてるのか。食べても、後味、全然軽くなのか。

たぶん「物足りない」と思う人もいると思うんですね。でも、こういうものが好きな人は、食べたのに全然また食べれる、また食べたいって思えるという。そういう料理はやっぱり少ないじゃないですか。

私も本当にいろいろ行って、よりそういうのを感じたので、だからこそ、ここでもちゃんと濃いんですけど、後味は軽い。無まではいかないですけども。

水月

無を目指してる

内山

無を目指してます。

水月

前に言ってた「僕はパティシエではないかもしれない」というのは、大多数の人は、その「濃い」だけの

内山

濃いというか、パティシエの世界でいうと、お菓子を作る人はお菓子にしか興味ないんですよ。食べ歩きに行くと言っても、お菓子屋さんにしか行かないんです。

料理屋さんはほとんど行かないんです。私はいろいろ行くようになったからこそ、こういうものが作れるようになったんですけど。

安定して同じものをずっと作り続けて、新しいものを作る時には、配合を自分で考えるのではなく、あるものをちょっといじって、組み合わせて、他と違いを作るのがベースなんですよ。

中には違う人もいますよ。そういうものじゃなく、本当に純粋に、食べるものの良さを伝えていく。

なんていうんですかね。考え方がやっぱり、ちょっとケーキ屋さんとは私は違うのかなという感じで。

水月

私がさっきの話を聞いてイメージしたのは、スケール感が違うのかなと。

お菓子という狭いところから入ってるのと、食全体から見て伝えたいという。

内山

はい。そうですね。はい。さすがです。

水月

「パティシエではないかもしれない」というのを聞いてすごく面白いなと思って、それをタイトルに使おうかなと。

4、「おかしやうっちー」さんの今後の展望

うっちーさんが今後、お菓子作りを通して、未来にやっていきたいことにはどんなことがあるのかなあと思ってお聞きしてみましたが、お菓子作りを超えたスケールの大きな「食」の視点からのお話になりました。

4−1 お菓子にすることで素材が100%伝わるように

水月

今そういう感じでやってるということなんですけど、未来にこういうお菓子作りたいなとか

内山

明確にこういうものを作りたいというよりは、素材との出会いが大事だと思うので。

出会って、それをお菓子にした時、どういう風に100%伝えれるかを考えてます。

私もまだまだ知らない食材もすごくいっぱいありますし、知らないこともいっぱいあるので、これからどんどん(知っていきたいなと)。

今新しいものがいっぱい出てるじゃないですか。そういうものを自分で吸収して、自分なりに解釈して、形にしていくのはすごく楽しいので、それを長く続けれることが今後ですね。

水月

素材と出会うというのは、例えばどういう風な感じで?

内山

こうやってお話してて、例えば、私が知らないことを知ってるのもいっぱいあるじゃないですか。

そういう話を聞いた時に、食材だったら、こういうものが美味しかったよと言って、「あ、じゃあ1回行って食べてみようかな」となったり。

あとは「いいものがあったから持ってきたよ」と持ってきてくれたり。

最近はコロナのせいであまりできてないんですけど、生産者さん、お世話なっている方にご挨拶に行きたいなと思ってて。

今ちょっとずつはできてるんですけど、行った時に、また新しく出会いや発見もあるので、そういうところからちょっとずつ広げていけたら。

4−2 「こんなお菓子があるんだ」ということを知って食を楽しんでもらうきっかけに

水月

もう少し抽象的な何か、お菓子の未来について思うことはありますか?

内山

自分のやっていることが正解だとは思ってないし、個々にやりたいことはたぶんみんなあって、それぞれやってるとは思うんで。

ただ、お菓子を食べた時に、こういう形式のこういうお菓子もあるんだというのを知って、もう少しみんな考えてくれたら嬉しいなというのはあります。

水月

お菓子を通してみんなに食の

内山

そう。それも一般の人じゃなくて、お菓子屋さんもそうですね。

水月

お菓子屋さんも

内山

お菓子屋さんに食べてもらって。例えば今までは既製品を使うのが当たり前、冷凍するのが当たり前で。

最終的に違いをつけるために既製品を使ってるので、結局、単体の既製品で作っちゃうと既製品の味じゃないですか。だから、そういうことはしないんですよ、みんな。

フレッシュなものだったらそれで成り立つんですけど、(既製品を使う)ということは、もう組み合わせしかなくて。

組み合わせをした時に、結局、何でこれを組み合わせたのかを明確に伝えれる人があんまりいないんですよ。「美味しいと思ったから」と。でも美味しいのは当たり前だと思うので。

何でこれを使って、こういう風にしたのかを自分が理解してないで作ったものは結局、お客さんも理解できるわけないので。

そうすると「あー、美味しかったね」で終わっちゃう。嗜好品でそれでもいいとは思うんですけど、そういうのが多すぎるから、食に興味が持てる人が少ない。

水月

お菓子を作ってる人、というか、お菓子業界全体に対して

内山

そう言うと大きくなっちゃうので、全然そういうことじゃなく、もっとみんなも楽しんでお菓子作りをしてほしいなという中には金儲けが好きな人もいるんで。そういう人は別にそれでいいと思う。

5、同行していた編集長からも質問が!「うっちーさんって負けず嫌いですか?」

水月

はい。とても興味深い食のお話が聞けた気がします。編集長の堤さんも聞きたいことあるって言ってましたよね?。

あー、そうですね!記事になるかわかんないですけど、うっちーさん負けず嫌いですか?

内山

負けず嫌いですね。

序盤の話を聞いてて、負けず嫌いなのかなと思って

水月

あ、フランスの?

人とちょっと違うなと思ったんですよね

内山

私、剣道やってたんですけど、ちゃんとやると決めたことは、途中で逃げ出さないでやってたので。

例えば、一番最初に働いたお店も結構ひどくて、朝7時出勤の朝4時終わりとかがあったりして、でも私1回も遅刻しないで。

その時もフランスから帰ってきた時みたいに、お客様扱いされて悔しくて。でも言わないですよ。仲良くはやってますけど。

やっぱり少しでも早く自分の実力をつけて仕事ができるようになりたいと思って。

最初入ったところが、最初販売からで。どこのお店もそうだと思うんですけど、朝7時から朝3時4時とかが平均だったんですけど。

それでも1時間早く来て、自分の仕事を終わらせて、次の仕事をもらったりしてたので。

だから他の人より早くいろんなものやらせてもらえたりしたので、そういう負けず嫌いですよね人と同じことしたくないという

自分の活動を下支えするものっていろいろあると思うんですよ。

根性とかかもしれないし、美しさを求める心とか、いろいろあると思うんですけど、うっちーさんの中で、負けず嫌いってすごい原動力なのかなとお話聞いてて思いました。

内山

あとは筋が通ってないことが嫌いなんで。結局、自分が間違ってたら謝りますし。改めて考え方も直したりとかするんですけど、結局、辻褄が合ってないことが嫌いなんで。

となった時に、自分がやると決めたことをやり遂げないとつじつま合わないじゃないですか。そういうのが原動力でもあると思うんですね。

水月

貫くものがあるってことですよね

内山

気持ち悪いんですよね、やっぱり。

違和感があるから、どうすればそれ解決できるかなとか

内山

そうですね。でも本当に終わりはないと思ってるので。やっぱり常に少しずつでもスキルアップするのが楽しくてやってるだけなので。

僕も今日、話を聞いて、研究テーマが1つ作られました。さっきメモしてたんですけど「お茶はなんのためにあるか?」という話あったじゃないですか。

サッカーのドリブルって一体何のためにあるのかなと思って、それを研究しようと思いました。

世の中で説明されてるものに違和感があるから、それを自分なりに答えを出したいというのはずっと続いていて、僕も筋を通した上でサッカーを理解したいという気持ちがあります。

むつみさんは声とか歌とか英語とかでそういうものってありますか?

水月

私の筋?

違和感があって研究しているものとか

水月

私の最近の発見は、私はことばに興味があるんだなって。

ずっと今までの人生で、ことばにめちゃくちゃ興味があった。

大学院のときは本当にことばを研究してた。会話とか。

私のことばはそれだけにとどまらなくて、歌とかもコミュニケーションのことばの一つとしてやってるっていう。ことばオタクです。

ことばオタク。へー!

内山

ことばって難しいですよね。

水月

はい、難しいですね。

内山

伝えるっていうのも難しいですし。だって受け取る相手によって受け取られ方が違うじゃないですか。

水月

そうです、そうです。文脈、状況によっても違うし。だから、私すごい苦手だったんですよ。こんな風に喋ってる今の私はもう全然本当に。

何もしゃべらない子供だったんで。ちっちゃい頃は。

自分ができないという違和感があって、それでどうすればいいのかなと、めちゃくちゃ興味があって。

あー、で、そういう道に進んでいったんですね!

他に掘り下げたいこととか、聞きそびれたこととかないですか?

水月

大体聞けました!とても面白かったです。

いやあ、すごい面白かったです

内山

大した話じゃありませんが

水月

ありがとうございました

内山

わざわざすいません

いえいえ、とんでもないです。ありがとうございます

6、まとめ

今回の記事では、「おかしやうっちー」さんの魅力について、

・お菓子作りへの想い

・フランス修行の話

・食に関して伝えたいこと

・未来の展望

・うっちーさんのルーツ

をご紹介しました。

「おかしやうっちーさん」は、お菓子を通して、お菓子の狭い領域にとどまらず、広く「食」に関して伝えたいことがあるのだなあという、その想いに感動しました。

私が初めてうかがった時に食べたものは「水のレアチーズ」という不思議な名前の、水とチーズだけで作ったチーズケーキだったのですが、「濃さ」と「軽さ」が共存していてビックリしすぎて何も言葉が出てこないという不思議体験でした(笑)

みなさんもぜひ不思議体験をしに行ってみてくださいね。

エネルゲってるライター 水月むつみ

うっちーさんのお店の情報

お店の名前おかしやうっちー
住所渋谷区千駄ヶ谷3-27-9-1F
営業時間平日11:30~14:00 土日祝日12:30~15:00
電話番号03-6721-0277
Instagramhttps://www.instagram.com/okashiya_ucchi/
公式ホームページhttps://www.okashiya-ucchi.com/
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